こんにちは。横山幸一です。
創業者にとって、2年目や3年目の資金調達が一番難しいのです。
「お金を借りて、返せなくなるといやなので、自己資金の範囲内で創業したい」
と考えている創業希望者は、少なくありません。
しかし、断言できます。創業時には、絶対にお金を借りておくべきなのです。
確かに、お金を借りると金利がかかります。
500万円借りて、金利が2.4%だと、年間12万円。1ヶ月に1万円となります。
大事なのは、これをもったいないと考えるか、それとも安心を確保するための必要経費と考えるかどうかです。
この2つの考え方のどちらをとるかで、その後の展開が変わってくるからです。
創業後、計画通りに業績が順調に推移すれば問題はありません。でも、計画通り進まないことも本当によくある話です。
思うように売上や利益が上がらない状況が続くと、遅かれ早かれ、手持ち資金は底をつきます。
そのときに慌ててお金を借りに行っても、簡単には貸してもらえないんですよ。
理由はかんた。実績が伴っていないからです。
創業するときは、実績などありませんから「自己資金額」や「経験」「事業計画書」を見て審査します。
その結果、ある一定の条件さえそろっていれば、ほぼ貸してもらうことができるのです。
しかし、開業して半年以上も経つと、業績がどのように推移しているかということを重視します。
収支がずっとマイナスの状態だと、貸す方も
「ここに融資するのはリスクが高い」
と判断するため、融資をしにくくなります。
創業者の多くが、1年目が終わった時点で資金が底をつき、融資を申し込みに行くのです。
その時点で申し込んだ場合、銀行の担当者からはこう言われます。
「ずっと、マイナスが続いていますね。申し訳ございませんが、もう6ヶ月程度業績の推移を見させてください。それで改善されていた場合は、前向きに検討させていただきます。」
つまり、融資を体よく断られるということになってしまうのです。
社長が粘って「ここでお金を借りて、てこ入れしようと思っています。」
と言っても、それまでの実績により、経営力が不足していると判断されるため、てこ入れしても結果は変わらないだろうと思われてしまいます。
その結果、事業を運営していく資金が足らなくなり、廃業してしまうというケースは、実はとてもたくさんあります。
「お金を借りても返せなくなるとイヤ」
という考えではなく
「借りたお金をいかにはやく返せるようにするか。そのために借りたお金を、どう使うのか」という考え方にしない限りは、創業した会社を存続させることはできないと思っておいた方がいいのです。
創業時に借りる必要がなくても、借りておくことで、資金ポジションが高くなります。
業況が思うように推移しないとき、その状況を打開するためには投資が必要です。
飲食店を経営していたものの、集客が上手くいかず売上が上がらないときは、集客を増やすために広告を打つということをしますよね。
この広告を打つというのが投資になります。
でも、残っている資金が少なければ、なるべく経費を使わないようにという意識が働きませんか?
資金がなければ、こういった場合に、広告を打つことはできず、今のままで来店客数が増えるのを神に祈るしか方法がなくなります。
待っているだけでは何も変わらないので、来店客数が増えることはありません。
資金ポジションが高ければ、そういった投資を行うことへの抵抗は少なくなるため、積極的に投資を行って、業況を打開することができます。
ほとんどの銀行は、
「今、お金を借りないと、会社がつぶれてしまいます」
という社長にお金を貸すことはないんですよ。
なので、資金に余裕がなくなってから借りに行こうと思っても、銀行は貸してくれません。
逆に、
「今は資金的に余裕があります」
という社長にお金を貸したがるのが銀行です。
社長にとって、一番お金を借りやすいのは創業時です。創業するとき借りる必要がなくても、必ず借りておくべきなのです。
必要なければ、銀行に定期預金として預けておけばいいのです。
それを最後まで使わないことができれば、経営は成功していると言うことです。
そして、その借り入れに対する金利は問題にはならないでしょうし、使う機会があるのであれば、先に借りていたということは正解だったということになります。
将来に対する備えをしておくのが、創業を成功させるために必要なことなのです。