こんにちは。横山幸一です。
信用保証協会の保証制度の見直しでは、
保証協会の保証付きの融資は、借りにくくなる!
という厳しい点があります。
その反面、良い点もありますよ。
要注意先でも資金調達は可能になる!
という、優しい点です。
実は、優しい点は、他にもたくさんありました。
中小企業の多様な資金需要に対するきめ細かな対応
が、それです。
具体的に言いますね。
3つの創設される支援策と、
4つの拡充される支援策があります。
そのうち、今回は中小企業経営者や創業者が利用することの多い3つの支援策について説明します。
これまでは、経営承継関連保証によって、経営者が交代すると信用力が低下すると言われたり、経営の安定化のため会社が株式を取得するといったことに対応してきました。
一方では、後継者個人による株式の購入費用や、事業承継のときに発生する高額の相続税や贈与税に対しては、後継者個人がまだ事業を行う前であることを理由に、実質的には信用保証を受けることができませんでした。
このような現状から、後継者個人を信用保証の対象として、事業承継のときに必要な資金調達に、一層きめ細かく対応することとなりました。
一言で言いますと、今まで融資できなかった後継者に対しての株式購入費用や相続税、贈与税も信用保証つき融資で調達できるようになります。
小規模事業者は資力はありませんが、差別化されたひとつの商品・サービスで市場を勝ち取っている場合も多くあります。
この場合には、不良品の排出などで経営が急に悪化すると、再び元の状態に戻るためには長期間かかるといったリスクも抱えています。
このため、銀行側は十分な資金を貸しにくいのが現状です。
この実態をふまえ、小規模模事業者向けの100%保証の限度額が増額されました。1,250万円だったのが2,000万円まで増えたのです。
一言で言いますと、基本的に中小企業に対する信用保証協会の保証割合は80%で、残り20%のために、銀行は融資に二の足を踏むということが少なからずありました。
但し、保証割合が100%である1,250万円までは、小規模事業者に対して、銀行も積極的に融資を行っていました。
その限度額が2,000万円まで拡充されるのです。
これによって、小規模事業者にとっては、少しだけながらも、資金調達力が高まるようになります。
創業時には、店舗開設や当座の運転資金などのまとまった資金が必要です。
でも、一般的に創業者は手元資金や信用力が少ない上に、過去の財務データもありません。
そのため、銀行は事業リスクを判定できず融資に消極的です。
結果として、創業時には十分な資金を調達できないのが実態です。
仮に、ある程度の資金を調達して創業したとしても、事業が軌道に乗り安定的な収入が得られるようになる前に運転資金が底をつく、いわゆる「死の谷」で断念することも多いのです。
こうした実態をふまえ、創業者が手元資金なしで保証を受けられ、その多くが「死の谷」を超えて事業を継続していけるように、100%保証の限度額が増額されました。1,000万円から2,000万円に2倍に増えました。
これも、一言で言いますと、今まで、創業関連保証は、1,000万円までは、自己資金要件なしで借りることができましたが、1,000万円以上については、自己資金と同額しか借りることができないところが多かったのです。
そのため、自己資金がない場合は、1,000万円以上の資金を借りることが難しかったのです。
この自己資金要件なしの枠が2,000万円に増額されたことで、自己資金がない創業者も、大きな資金調達が可能になったという制度です。
でも、実務上は違いますよ。
自己資金が少なければ「準備不足」とみなされるため、融資審査では不利に働き、なかなか大きな資金を借りることは難しいのです。
今回の改正で、各銀行の創業融資に関するスタンスを見極めることができます。
自己資金なしで、2,000万円まで積極的に融資をする銀行が出てきた場合は、創業者は、その銀行に融資を申込みにいくべきでしょう。
保証制度の改正によって、
・事業承継
・創業
・小規模事業者の資金調達
・経営改善、事業再生、再チャレンジ
・円滑な撤退
がしやすくなりました。
その反面、信用保証付き融資での全額資金調達は難しくなりそうです。
取引先の銀行と良好な関係を作っておくことで、信用保証付き融資でなくとも、プロパーで融資(信用保証なしでの融資)をしてもらうことは可能なのです。