こんにちは。横山幸一です。
正しい銀行訪問が資金ショートを防ぎます。その上、強い会社を作ることができます。
もし、資金ショートが分かったら、どうしますか?
急いで、力になってくれそうな地元の銀行に融資の依頼に行きますね。
中小企業の味方は地元の銀行です。
資金ショートになる前にやっておきたい大事なことがあります。
業績が好調な時に、支店長とのパイプを作っておくことです。
ここでいちばん大事なのは、「業績が好調な時に」です。
資金ショートが分かってから、普段つながりのない支店長のところに行っても遅いからです。
融資は、銀行の担当者が書いた稟議書で決まります。
その時に、情報や書類は担当者に渡すのではありませんよ。
ここを間違えると、貸してもらえる融資も貸してもらえなくなります。
こういうことです。
力のない担当者が書いた稟議書は、上司の貸付担当役席が何度もやり直しを命じます。
繰り返しやり直しを命じているうちに、時間切れとなって融資がおりない状態が発生するのです。
このような事態にならないようにすることが大切です。
方法は簡単です。
情報や書類は「全部、直接、貸付担当役席に持っていく」のです。
この時に、日頃のパイプ作りによる人脈が力を発揮します。
だから、「業績が好調な時に」動いておくのです。
貸付担当役席に情報や書類を渡すと安心できます。
力のない担当者が書いた稟議書は、先ほどと同じようにやり直しを命じられます。
次の段階が、さっきとは明らかに違うのです。
やり直しを繰り返すうちに、情報や書類を持っている貸付担当役席の指示が入ります。
やがて、貸付担当役席が書いたものと同じレベルになるのです。
こうなれば、融資もしてもらえます。
売上が減少して赤字になっても、借金が多くなっても、経営は続けることができます。
資金がショートしてお金が一瞬でも底をついてしまったら、次の日から営業を続けることができなくなってしまいます。
これが「黒字倒産」です。
たとえ、売上が順調であるにもかかわらずです。
大事なのは、自己破産せずに事業を継続する資金繰りの方法を知ることです。
ポイントは、資金ショート発生のメカニズムを知ることです。
現金が入るのはいつ?現金が出ていくのはいつ?
ここで、少しカンタンな計算をしてみましょう。
もしも、3万円の商品が500個売れたら、売上は、
3万円✕500個=1500万円
です。
すぐに入金があるわけではありません。計算上は、1500万円の売上があるはずですが、実際には、そのお金の入金は来月です。
その商品の仕入れが1つ1万円だとすると、
1万円✕500個=500万円
の支払いが必要です。
500万円は今月支払わないといけないお金です。
今月、500万円支払があるのに、入金は来月です。
ここで、お金が足りない状況が発生しています。
次の対策が考えられます。
・支払いを遅らせてもらう
・入金を早めてもらう
・お金を借りる
・他の手段で現金収入を得る
このように、資金ショートしないように「いつ?」を気にかけながら経営していくのが、資金繰りのポイントです。
「勘定合って銭足らず」という言葉があるくらいです。
計算上はお金があるはずなのに、金庫や通帳にはお金が残っていないということもありえるのです。
いくら「来月には、1500万円入ってきますから」と言っても、今現在、手元に現金がない限り、不渡りや銀行取引停止といった最悪の状態が待っています。
このように、黒字倒産の大きな原因は、入金と出金の日に開きがあることです。
入金と出金の日の開きを、タイムラグと言います。
資金ショートの怖いところは、いざその時になると慌ててしまうことです。
そのため、どんどんと悪い道を選んでしまい、事態は悪化していく一方なのです。
頭の中はパニック状態になって、正常な判断ができなくなっているからです。
資金ショート回避のための事前対策は3つです。
・資金繰り表の作成と在庫管理
・徹底的なコスト削減
・貸し倒れ対策
そして、資金ショートに即効性のある対策は3つです。
・銀行にリスケの申し込みをする
・支払いを遅らせる(給与、税金、社会保険など)
・資産を現金化する
では、資金ショートしそうなとき、どの支払いを優先するのが正しいでしょうか。
税金や社会保険料は、優先的に支払わなければと考えがちです。
実は、資金ショートしそうなときの支払い順位は、以下が正解です。
1番は、手形・小切手
2番は、人件費
3番は、仕入・外注費
4番は、家賃
5番は、銀行借入
6番は、社会保険料
7番は、税金
税金や社会保険料は、支払順位が下位なのです。
1番の手形・小切手は不渡りを出すと、銀行からの大きな信用低下につながりますので、絶対に避けましょう。
2番の人件費は、従業員の生活を守る上で確保するのは経営者の責任です。
5番の銀行借入では、先に書いた「リスケ」の方法で支払いを待ってもらうことも可能です。
6番と7番の社会保険料と税金も、将来的には必ず支払うという前提の元で、一時的に遅らせる交渉ができます。
とは言え、高率の延滞税が追加されたり、会社の不動産や買掛金や預金などを、差し押さえられる可能性がありますので、注意が必要です。
他にも、支払いサイトの延長も非常に有効な方法です。
支払いサイトの延長とは、例えば、「月末締めの翌月払い」を「月末締めの翌々月払い」にしてもらうことです。
これができれば、30日分の余裕ができて、精神的にも楽になります。
支払いサイトの延長と関連して、入金を早めてもらう方法も有効です。具体的には、取引先に交渉して、30日後の入金を1週間後に早めてもらうなどです。
大事なので、最後にもう一度繰り返しますよ。
黒字の会社でも、資金ショートすることがあります。
業績が好調な時にこそ、地元の地域密着型の銀行とのパイプを作っておくことです。
いざという時に、必ず力になってくれます。